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童話。連載中。
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時間がたつにつれ、ネコの空腹は限度を超え、何をする気力もなくなりました。兄の顔が頭に浮かびました。

「食べ物を得るための仲間もいないし、道具もない。このまま俺は死んでいくのだろうか」

空を見上げれば、太陽の下で大きな羽を広げたペリカンが飛んでいました。他の動物と交換した何かを運んでいるようです。ペリカンはただの運び屋でしたが、そこで稼いだお金で豊かな生活をしていました。ペリカンは魚ぐらい獲れましたが、もはやそんな原始的な生活は卒業していたのです。

実際、ネコの中でも多くの仲間が、動物社会の中で働いていました。クロネコも仲間を募って、大掛かりな運び屋をやっていました。快適な家で、羽毛布団に寝たり、美味しいものを食べていました。

自由なネコはあくせく働くクロネコを見て、あざ笑っていましたが、こうなってくるとうらやましくなってきました。粗末な家に住み、栄養も全く足りません。

「兄さんが生きていたらなあ。自分だけで生きていくことは出来ないのだ」


ネコが大の字になって 目を閉じ、魂が抜けた状態になっていると、ばさ、ばさ、という音がしました。

何事かと目を横にやると、大きな葉っぱの下をクッションに、一匹のヒヨコが落ちてきたのです。そのヒヨコは不思議な青い蝶ネクタイをしていました。

おお、これは天からのプレゼントだと、ネコは涎をたらして近づきました。ネズミより美味しそうです。

ネコのギラギラした目を見てヒヨコは恐れおののいているようでした。ネコの爪がヒヨコの体に近づこうとするとき、ひよこは目を潤ませ訴えてきました。

「僕を食べないで下さい」

「何を馬鹿なことを言う」とネコは嘲笑しました。

「僕は小さいですし、腹の足しにはなりません。もう少し大きく育てて食べたらいかがですか」

「その間に、逃げる気だろ」

「滅相もありません。足にオモリでも付けてください」

ネコは考えました。確かにこんな小さなヒヨコなど食べる所がありません。それよりもニワトリになった時のモモ肉にかぶりつきたいと思いました。もう少し待ってやることにしました。

ネコは早速、ヒヨコの足を長いつる草と木で結びつけました。

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ある森に大きな湖がありました。その界隈でネコが一匹暮らしていました。
ウサギやニワトリなどの動物は集団で都市を作って、品物を作り、交換して生活していましたが、ネコはそうではありませんでした。ネコはひとりで生きていました。何者からも縛られず、ネコは自由でしたが、不自由なことも多すぎました。

ほかの動物たちは、ツボやニンジンを売るほど作って交換していましたが、ネコは何も作っていませんでしたから、その輪の中に入れません。ネコは非常に貧しかったのです。
だからネコは食べ物を自分で探さなければなりませんでした。
湖で魚がはねました。ネコは魚が大好物でした。ネコの口からよだれが出ました。ネコは釣竿を投げ、糸を垂らして待ちました。

ネコは怠け者でいつも寝ていましたので、魚釣りの間も眠くなり、ついうとうとしていました。でもその時、大きな魚がかかっていたのです。
魚は釣竿を引っ張りました。釣竿の柄は、眠るネコの柄からするりと離れ、竿は湖の中に引きずり込まれました。

目を覚ましたネコは、両手を伸ばして大あくびをしました。一体自分は何をしていたのだろうと、首を回しました。
ネコの腹が大きく鳴りました。そういえば、腹が減ったから、魚を釣っていたのだと目を見開きました。
ネコは思い出しましたが、肝心の釣竿が見当たりません。
とおく、湖の真ん中で浮いているさおを見つけ、ネコは恐怖に陥りました。

「ああ、何てことだ、これからどうやって食べていけばいいのだ!」

その釣竿は、思い入れの深い品物でした。かつてネコには兄がいて、二人で共同してネズミを捕まえたりしていましたが、病気で兄が死んでしまいました。そこへハトたちが現れました。ハトは楽器作りをなりわいとしていました。三味線を作るから兄の亡骸をくれというのです。もう、一緒にネズミを狩ることは出来ません。これからは魚釣りで食べていこう。そこで、兄の死骸を売ったお金で、サル達から素晴らしい釣竿を買って、それで暮らしを立てていたのです。
その釣竿が今、消えてしまい、ネコは大変慌てました。

 ネコとヒヨコ  概要
   ある時、森の中を歩く一匹のネコがいた。ネコは大変お腹がすいていた。川の水を飲んで、大の字になっていると、空から一匹のヒヨコが落ちてきた。
 ネコは魂消た。これは神が授けた食料だ。早速捕まえて食べようとすると、ヒヨコは潤んだ目で語り始めた。
 「僕を食べないで下さい」
 「何を馬鹿なことを言う」とネコは嘲笑した。
 「僕は小さいですし、腹の足しにはなりません。もう少し大きく育てて食べたらいかがですか」
 「その間に、逃げる気だろ」
 「滅相もありません。足にオモリでも付けてください」
 ネコは考えた。確かにこんな小さなヒヨコなど食べる所がない。それよりもニワトリになった時のモモ肉にかぶりつきたい。もう少し待ってやるか。
 猫は早速、ヒヨコの足を長いつる草と木で結びつけたのであった。
 こうして、死を免れたヒヨコは、悩みながらも、何とか脱出しようと頭をひねり始めたのだった。
 


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童話『ネコとヒヨコ』

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